マウントアダプタの自作手順(製作中)

ここでは、引き伸ばしレンズや、レンズ単品をベースに、
ふつうに撮影が出来る (無限遠~近距離までピントが合わせられる)ように撮影用レンズを自作する手順をまとめています。

以下のテクニックは、他マウントの撮影用レンズを買ってきた場合にも、流用可能です。


■ 撮影用レンズを自作するにあたって必要な知識
  • カメラのセンサと、レンズの距離(以下では「センサ-レンズ間距離」と呼びます)によって、
    ピントが合う位置は変わります。

    • センサ-レンズ間距離 が、 無限遠にピントが合うときのセンサ-レンズ間距離より大きくなると
      ピントが合う位置は、手前に来ます。
    • 一方、センサ-レンズ間距離 が、 無限遠にピントが合うときのセンサ-レンズ間距離より小さくなると
      ピントはどこにも合いません

  • 撮影用レンズを自作するにあたっては、レンズが、
    • 少なくとも、無限遠にピントが合うときのセンサ-レンズ間距離 に配置でき
    • 無限遠にピントが合うときのセンサ-レンズ間距離 よりも遠くに移動できる
      ように作る必要があります。
  • なお、以下では、なるべく誰にでも分かるように、
    厳密性を多少犠牲にしても専門用語を極力使わないようにしています。

  • 専門的な話に興味がある場合は、「写真家のためのレンズの科学」を、
    大学教養程度の知識をお求めの場合は、「光学の原理」などをご参照下さい。

■ 作成手順 (概略)
  1. 何でもいいのでレンズを買ってくる
      (レンズの焦点距離が、カメラのフランジバックより短いものは、無限遠が出ない可能性が高いので
    避けた方が無難です。

  2. レンズのフランジバックを調べる
    1. てきとうに紙を丸めて、ドローチューブを作る
         (トイレットペーパーやサランラップの芯を流用してもOK)
         (○:レンズの外径に合わせて作ればOK ×:レンズの径より小さなものはNG)
         (ドローチューブの長さは、レンズの焦点距離 - カメラのフランジバック ±10mmくらいを目安に)
    2. レンズとドローチューブ、 ドローチューブとカメラ本体をテープで止める
         (マスキングテープのように、貼った跡が残らないテープがベター)
    3. ドローチューブを伸縮させて、無限遠にピントが合う位置を見つける
         (無限遠にピントが合う位置でのドローチューブの長さ(F) + カメラのフランジバックが、
          そのレンズのフランジバックです。)

  3. 撮影用レンズとするために必要なパーツを選定する
      ※ パーツを組み合わせたときに、総光路長が
         上で調べた「無限遠にピントが合う位置でのドローチューブの長さ(F)」をとり得るようにする。

    • ピントを合わせる機構として、ヘリコイドまたはドローチューブ
    • 光路長の調整用に、延長筒またはべローズ
    • 必要であれば、絞り

  4. 実際にパーツを購入して組み合わせる (以上)

■ レンズ作成に役立つ資料


■ レンズ作成に必要なパーツの調達先
  • e-bay
  • Yahoo! オークション

  • カメラ屋 (中古パーツを扱っている店)
  • BORG販売店、または直販

■ 作成メモ(1)

光路長に余裕がある場合は、一度 M42マウントに変換するのがオススメです。
M42マウントであれば、巷に、豊富かつ安価に存在するヘリコイドや延長筒、各種変換アダプタを使えます。

※ M42マウントは過去に、日本だけでなく海外においても、デファクトスタンダードのマウントとして使われていた経緯があるため、
  海外では、中古に限らず今でも大量のアイテムが売買されています。


■ 作成メモ(2)

どうしても、パーツがない場合は、パーツの設計図だけ書いて
ホームセンターや、ハンズで、アルミを加工してもらうのがお手軽です。

ただ、金属面剥き出しのままでは、鏡筒内の金属面で反射した光がセンサに入ってしまい、
何かの冗談かと思うくらい、撮影写真が思いっきり白くなったり、
ぱっとみではよくわからないけれど、調べてみるとコントラストが低下していることが多いです。

個人的には、植毛紙を貼る、艶消しの塗装をするなど、反射対策を徹底することをオススメします。
(※ 安価な海外製品には、反射対策が不十分なものが混じっているので、同様に注意が必要です。)


■ 余談

  • 参考までに、
    • レンズの焦点距離 = レンズのバックフォーカス長(Back focus Length; BFL) です。
    • レンズのバックフォーカス長は、レンズの主点から、センサ面までの距離として定義されます。

    • レンズの主点の位置は、レンズの設計によって、
      レンズより手前に位置したり、遠くに位置したりと、かなり変わってきます。
      (特に、望遠レンズや、広角レンズでは、焦点距離と、フランジバックの乖離が大きいです。)

    • レンズのバックフォーカス長は、
      レンズの中心から、センサ面までの距離や、端面から、センサ面までの距離(≒フランジバック)ではありません
      (※ と、巷に溢れる誤解を切り捨てる為言い切ってしまいましたが、同じになる可能性もあります。)

  • とはいえ、焦点距離が、50mm~100mm前後のレンズに関しては、
    そう大きくは変わらないことが多いと思っています(思いっきり主観)。
    そんなわけで、上記記事では、「焦点距離とフランジバックがそんなに変わらない」ことを前提として、
    撮影用レンズの自作手順をまとめました。ご注意下さい。
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